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2007年5月

2007.05.28

ルートヴィヒ(と山猫)

公式サイト

映画ファンならおなじみ、ルキノ・ヴィスコンティ監督の生誕100年祭の特集上映です。

「山猫」は今回都合で見れなかったんだけど、2年くらい前に見たのでその感想をちょっと。
まずタイトルクレジットがいいんすよねー。ニーノ・ロータの音楽がジャーンと鳴って、重厚なフォントで「IL GATTOPARDO」って出るのがね〜。何度見てもいいわ。
日本での知名度としてどーしてもアラン・ドロンが主役っぽいイメージなんだけど、もちろん主役はバート・ランカスター!チョーカッコいいんです。明らかにヴィスコンティ=ランカスターで、おいおい格好良過ぎだろ!って思うけど、そのナルシストぶりも良し!!
一方アラン・ドロンと相手役のクラウディア・カルディナーレのカップルは、美男美女なんだけどまったくお似合いでない!!なんか2人ともガツガツしてるんだもの。カルディナーレの方は「美しくて優しくて聡明」なはずなんだけど、かなり意地悪なんだよなー。
やはり舞踏会の場面でランカスターとカルディナーレが踊るところはとても良い。古い時代と、来る新しい時代の象徴なんですが、そのデカダンな雰囲気が大好物なんです!!踊りでデカダンスといえば「ラストタンゴ・イン・パリ」でマーロン・ブランドが無理矢理マリア・シュナイダーと踊るシーンを思い出す。
今回もう一度見れなかったのが残念。いつかまたフィルムで見たい。

で、今回見たのは「ルートヴィヒ」。完全版で約4時間!もちろん途中でウトウトもしましたが、見きった充実感はあります。
バイエルン国王のルートヴィヒ2世が国王に即位してから亡くなるまでを描いたもので、主役はヘルムート・バーガー。超おっとこ前です。眉毛がすごいです。
19歳で国王になって、バイエルンの国威を挙げるために芸術家を集めようとして大好きなワーグナーを召喚するんですが、このワーグナーがどうしようもなく描かれてます。ほんとにこんな人だったんだろうか。ルートヴィヒはこのワーグナーの親父に騙され、唯一(女性で)愛する従姉のロミー・シュナイダーには振られ、まあ可哀想と思ったらどんどん孤独になっていきます。
で、だんだん精神的におかしくなっていくんだけど、途中で虫歯になって歯がぼろぼろになるんです。そのぼろぼろの歯のまま死んで行くんだけど、まーそれがあの男前と合わさると悪魔みたいな顔だなと思った訳です。
ルートヴィヒその人については・・・特に好きでも嫌いでもない人物と思ったけど、やっぱりこういう風に若くして即位した人って可哀想だなあといつも思います。ロミー・シュナイダーもっと優しくしたれよ!!とかね。

とりあえずラストカットの、ルートヴィヒの死に顔がすーごくいい!!

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2007.05.24

恋愛睡眠のすすめ

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萌えーーー!!ガエル(・ガルシア・ベルナルね)萌え!!!「モーターサイクル・ダイアリーズ」以来のガエル萌え!
とりあえず今まで見たガエルの中で一番カワイイ!!!やばいやばい。こんな映画観たら、誰でもガエルのこと好きになっちゃうよ。

実はミシェル・ゴンドリーの映画って初めて見たんではないかな?実はあまり期待してなかったんだけど、すごい良かったです。夢と現の絶妙なつなぎと、過剰なほどポップな世界。オープニングのアートワークからかなり素敵。夢の中の物いろいろ、段ボールの車やカメラや、セロファンの水や、その他もろもろ、私も工作が好きなので、創作意欲が俄然湧きました。

でもただ可愛らしいだけじゃなくて、結構シュールなところもあって、それがいい。逆に、それが無いと辛かったかも。

子供の頃の妄想癖をそのままに大人になってしまった男が、大人だけど子供のような心も持っている女の人を好きになって、ただ「好きだ」っていうことを伝えるだけの話。シンプルなのにもどかしくて切ない。一見女子向きな映画か?と思うけど、結構男子が見るとグッと来ると思います。

残念なのは邦題があんまりよくないなと。だからと言って他に良いのは思いつかないけども。

ちなみに他の観客は映画の後「わけわからなかった」と言ってました。

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リーピング

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「イナゴ少女、現わる!」

って、完全にB級ホラーのコピーじゃないですか。期待したんだけど、最初があんまり笑える感じじゃなくて、話を追っているうちにウトウト・・・。昼間に映画見ると、確実に寝ちゃうんですよ・・・。

半分寝ながら見てたんだけど、イナゴのシーンは別にメインでもなくて、少女もイナゴだけ操ってるわけでもなくて、イナゴ以外のシーンに怖いシーンがあったりして、やっぱりB級を狙ったコピーとしか思えません。

内容は、若干「オーメン」を思い出す、完全なるオカルトホラー映画でした。子供はデミアンほど怖くないけどね。カエルが血の川でひっくり返って死んでるのとか、凄い顔したミイラとか、なかなか見どころのある場面も多し。

うーん、寝ないでちゃんと見てれば、もっと楽しめただろうなあ。残念。

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クイーン

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アカデミー賞の主演女優賞を獲ったやつです。ダイアナ元妃が亡くなった時の、女王の話です。

うーん、ダイアナさんもイギリス王室もよく知らないし、あんまり興味も無いので内容的には「フーン」って感じでしたが、ソクーロフの『太陽』と同じ視点なのかなと思うとちょっと興味深い。普通の映画は、民衆視点だから、こういうもう一方の視点っていうのは物事を別の角度から見ることになるので、なるほどなと思います。

で、これ、イギリス王室の話だからややこしいけど、これが自分の身近に例えてみる。
自分のダメ息子と結婚した快活な嫁。孫もできた。でも、嫁は私の家のルールや家の雰囲気に馴染めず反撥し、嫁はダメ息子に愛想を尽かし、ダメ息子は他に女を作る。出て行った嫁は外で私の家の批判をして、外の人たちは嫁に同情した。この嫁が事故で亡くなった。

人の心情としては、「出て行ったんだし、知らねえよ」っていうところだし、その嫁の葬式に出なくても、まあ基本的には問題ないと思います。一般人だと両方の言い分や気持ちも理解出来るけど、王室だとやっぱり批判的になるわけなんですね。それがいいとか悪いとかじゃなくて、事実として。

これは王室(女王)側の視点なので、女王に同情的な目線になってしまいますが、まあそこはきちんと引き気味の描きかたになってたかと思います。

この監督、スティーブン・フリアーズという人なんですが、作風から言ってどっちかいうと左寄りの人ではないかと思うんですが。主演のヘレン・ミレンは、若いときパンク女だったらしいです。「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」とか聴いてた人が女王をこんな風に演じるんだから役者ってすごいね。ちなみにヘレン・ミレンは、「クイーン」の前に凄い映画に出てます。なるほどパンクおばさん。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20070301

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2007.05.20

檸檬のころ

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正直あまり興味をそそられなかったんだけど、「恋しくて」を見て以来、石田法嗣くんがカワイイなーと思って気になってたので見ました。

なんだろう・・・リアルな高校生の青春、というよりは、大人が「こんな高校生の青春だったらいいな」っていう妄想の物語だと感じました。でも別にそれが悪いわけではなくて、雰囲気もうまく出ているし、好感の持てる映画だと思います。

ただやっぱりちょっと気恥ずかしいシーンが結構あったりして、エログロは正視できる私でも何度か目を背けたくなるシーンも・・・。あとは田舎の高校生はおつき合いしても髪を触るのが精一杯っていうのはありえないと思います。いつの時代の話だ。

主人公の女の子は榮倉奈々ちゃんというアイドル?なんですが、女性監督なのであんまりアイドルっぽく撮られていないのは良いのか悪いのか。もっとこの子を可愛くフィーチャーして撮ってもいいんじゃないかしらと思ってしまった。もう一人の女の子の方が観客が同化もしやすくて、監督はきっとこっちの女の子のことの方が理解出来るし好きなんだろうと思いました。

お目当ての石田法嗣くんは正直イマイチ。一番リアリティのない役だと思った。物語の中で、このキャラクターをもっと活かした方がいいんじゃないかなと。柄本佑くんはさすが上手いなと思った。安定感もある。林くん(ミュージシャンらしい)は最初あまりの棒読みっぷりにどーなんのこれ、と思ったけど、意外とそれがこういうタイプの高校生としてリアリティがあって良かったと思います。

全体的には、悪くない、しかし特別良いと思ったところもない・・・飽きることはないけど、やや長く感じました。えーと、みんなが思ってるよりは良い映画だと思います(微妙なフォロー)

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ポリス  インサイド・アウト

今まで知っているバンドで、一番のイケメン揃いのバンドはキンクスだと思っていた。けど、ポリスが並ぶかもしれない、と思った。スティング、アンディ・サマーズ、スチュアート・コープランド、みんな系統は異なる男前。

音楽ドキュメンタリーは大雑把に言って、そのアーティストのヒストリーを(時折さも偉大な感じに)追っていくものと、純粋にライヴのみで構成したものの2パターンだと思います。ちなみに今までで見た音楽ドキュメンタリーで一番好きなのはジョナサン・デミ監督&トーキング・ヘッズの「ストップ・メイキング・センス」です。

これがその2パターンとちょっと違うのは、監督がメンバー自身(スチュアート・コープランド)であるということです。監督としてはほとんどシロウトだけど、長年ずっとバンドのプライベートな映像を撮り続けている、しかも撮ったのが身内なので被写体も全く無防備。

かなりプライベート色の強いドキュメンタリーなので、どちらかというとファンが見て喜ぶ映画かなと思いました。ポリスとXTCが一緒に!とか、ファンじゃなければ「フーン」って感じじゃないですかね。あ、ズートマネーにすごく影響されたと言ってたのは「なるほど」と思ったけども。

ただ面白いというかなるほどと思ったのは、売れてきてツアーで飛び回っている間、ホテルとライヴ会場の行き来と移動のみ、食料も女も望めば(自分でなにもしなくても)手に入るという状況で、自主性や主体性がなくなるということ。つまり、物質的に満たされた状態なわけで、この状況じゃ良いものは生まれないんだなということ。何故売れてきたり年をとったミュージシャンは、どんどんつまんない曲になってくのか?っていうのの一つの回答だなと思った。以前デヴィッド・ボウイが、「デビューアルバムが最高傑作である、なぜならそれまでの創作の衝動が一番現れているから」とかそういうようなことを言っていたのを聞いて、「そんなわけない」と思ったけど、それも一理あるなと納得できました。

とりあえず、ちゃんとポリスを聞こうという気持ちにはなりました。

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2007.05.19

バベル

公式サイト

実は「アモーレス・ペロス」も「21グラム」も未見な似非映画ファンです。

イニャリトゥ監督の手法として様々な人物を時間軸を交差させて描く・・・という情報だけは聞いていたので、結構頭使うだろうなと思って見ました。が、まあ手法はその通りなんですけど、特に難しいと感じることはありませんでした。普通に単館系の映画を見慣れていれば理解に苦しむことはありません。

ケイト・ブランシェットが撃たれることは事前の情報で知っていたので、いつ撃たれるんだろう・・・とかなりハラハラしながら見てました。この撃たれるシーンはかなりリアルで、ガラスがパーン!!血がビュー!!ギャー!!、というのではなく、一体何が起こったか一瞬わからないっていう演出でした。確かに(大小問わず)なにか怪我をした時ってこんなリアクションです。

この銃撃シーンから連鎖的に、モロッコ、メキシコ(とアメリカ)、日本での物語が始まりますが、すべての物事は悪い方向に進みます。

ここに出てくる人だけでなくて、私たちも含めて、人と人との諍いや争いごとは「理解してほしい」ということに集約されていることに気づきます。「理解してほしい」が叶えられないことで「理解してくれない」という怒りにかわるんですね。個人的なことも、世界レベルの出来事も。で、この映画は世界レベルの「理解してほしい」かと思いきや、実は一番身近な人ですら理解するのは容易でない、ということを描いていると思います。

ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの夫婦も、菊池凛子と役所広司の親子も、最後は理解し合えたかに見えます。が、果たしてそうかな?理解し合うための一歩を踏み出したに過ぎないと思います。

この映画を観た後には、希望とかそういったポジティブな気持ちよりも、絶望や無力感などネガティブな気持ちが大きい。それは何故かとずっと考えていたんだけど、例えばケン・ローチの「麦の穂をゆらす風」は、ラストはとても残酷であるけれど、観客が、彼の死によって兄は変わることが出来るかもしれないという希望が残ります。でも「バベル」は、この主人公たちがこれから良い方向に向かって行くと信じられないからです。モロッコの少年はきっと処罰され、子供を失った家族は絶望に突き落とされるだろう。ケイト・ブランシェットはイスラムを好きになることはきっとないだろう。あの家政婦は全てを失って国へ帰るだろう。子供たちは家政婦を恨むかも知れない。役所広司は娘を理解することは不可能だろう。菊池凛子はこれからも理解者を見つけるのは難しいだろう。

夜中に映画館を出て、なんともやりきれない気持ちで悶々としてしまい、iPodから流れてきた「there is nothing more to say」を大声て歌いながら自転車で爆走して帰りました。

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2007.05.12

ルナシー

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自由と抑圧のコントラストは、資本主義と社会主義、そのまま世界の縮図。宗教を否定し究極の自由が展開されると、狂気の沙汰に見えてくる。そこに介入する拘束や抑圧は一瞬救世主のようにも見えるけど、またそれも狂気だという表裏一体。どっちが良くてどっちが悪いかなんてこの映画を見たあとは簡単に言えない。

主人公は唯一まともな人間に見えるけど、翻弄されまくって最後は狂気の餌食になるのは、世界や時代に翻弄される民衆のよう。でもこの“民衆”が、考える力を持っていないっていうアイロニー。

シュヴァンクマイエルは世界に絶望しているのかな?と思ってしまうけど、こういう映画を作って観客に見せているということは、そうでもないんでしょう。

身体と精神のバランスを取っていく=人間を均一化した究極の姿は肉塊、というラストに驚愕。いやいやこのシュヴァンク爺さん、全然ヤキがまわってません。すばらしい。

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2007.05.01

フランシスコの2人の息子

公式サイト

話の端折りかたに、「恋しくて」に近いものを感じた。一番描きたいのは「家族愛」で、それ以外の部分は大雑把、というか端折られています。でもそれがダメだというのではなくて、その分登場人部の心境は十分に描かれていたとっ感じます。

こういう映画では避けられないのですが・・・やっぱり子供の頃がカワイイと、大人になったときのギャップがあってどうしてもガッカリしてしまう。また、時代的にも大人になったのが80年代後半〜90年代くらい?の微妙に古くも最近でもない時だから、服装などビジュアル的にもちょっとガッカリです。仕方ないんだけどね。

タイトルは「フランシスコ」という兄弟の父親の名前が入ってるけど、この映画を見て思ったのは、母親の方がよっぽど大変だったんじゃないかということです。貧乏なのに家の物を売って楽器を買って、才能があるかないかわかんない子供に投資して、子供の数もどんどん増えて、それなのにフランシスコは貧乏な家族をひっぱりまわしました。結果大物ミュージシャンになったからいいけど、これで一生芽が出なかったらどうなってたんだろう・・・ギャンブルです。

内容もわかりやすいし、最後に本人が登場するとぐっと現実味が出て後味も良いと思いました。

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