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2007年9月

2007.09.05

インランド・エンパイア

公式サイト

デヴィッド・リンチの新作です。
3時間だし〜、リンチの脳内映画だし〜、観に行った日は朝から仕事中も物凄い眠気が襲ってきていた日だったので、上映中に寝る事とトイレに立つ事を前提で観に行きました。
しかし!!!冒頭の暗い映写機の光にタイトルが浮かぶ陰鬱なクレジットからしてもう傑作の予感がしたんですが、素晴らしかったです!!!
一応あってないような筋としては、ローラ・ダーン扮する女優が、映画と現実がごっちゃになっていって狂っていくんですが、この狂ってきてから(まあ最初から狂ってるんだけど)が俄然大興奮なのです。当然意味なんてわかりません。わかってるのはただ一つ!!「このおっさん(リンチ)狂ってる!!」。
ローラ・ダーンの狂った演技もマジで素晴らしい、一体どうやって演出したんだろう?完成したのを見るまでどんな映画になるかなんて絶対どの俳優もわかってなかったと思うんだけど。
娼婦の女の子たちがみんなで踊るシーンが妙に浮いていてそれがまた良い。ラストのクレジット、最後の最後に「INLAND ENPIRE」と出てきた時の興奮(と達成感)。
この映画はダメか好きか、極端に別れる映画だと思います。ダメ、つまらん!という人の気持ちも、よくわかります。
うっかり「デヴィッドリンチの映画観に行こうぜ〜」と知ったかぶりしてデートに彼女を連れて行ったりしたらその後完全に気まずくなるから注意しな!!

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デス・プルーフ in グラインドハウス

公式サイト

2大オタク巨頭タラとロドリゲスの2本立て映画の1本目、タランティーノの「デス・プルーフ」。
「インランド・エンパイア」と2日続けて観るというかなり濃いめの鑑賞だったのですが、こちらも傑作!!!いや、IQ低過ぎて素晴らしい!!!
必要以上にエロいオネエちゃんたちのどーでもいい会話を舐めるように写すロングショットや、むちゃくちゃなキャラクターのカート・ラッセルも最高。つーかデスプルーフ仕様って(笑)「俺の座っている席だけな!!!」かーっこいー!!イエー!!そしてネエちゃんたちの車に突っ込むシーンの、女の子の顎から顔面をガーっと削り取るような死に方が素晴らしい(何を言ってるんだ私は)。
後半のロザリオ・ドーソンたちのカーチェイスも大興奮です。「ボンネットに乗りたいの」・・・ってアホか!ラストも爆笑というか失笑。
また、当時のグラインドハウス映画を再現するために意図的に入れられているノイズ、プリントの傷、スプライス(フィルムの継ぎ目)、黒の入り方やチェンジマークの汚さなんかのリアルさが素晴らしい!
結構テレビなんかで、演出で昔のフィルムっぽい傷を入れたりするのがありますが、正直言ってあんまりリアルじゃないんです。しかし、傷の入りやすいところとか、傷の入り方のリアルさがこの映画は格段なので、何も知らないで映写していたらマジでビビりまくります。
ちなみにラストのクレジットに挿入される、いろんな女性のポートレートみたいなのがあるんですが、あれはカラーバーといって、フィルムの色などの確認のために、フィルムのリーダー(映写しない部分)に入れてあるものなんです。でもきっと、グラインドハウスのグダグダの映写ではきっとフィルムの(普通は映写しない)最後まで写してしまうようなことが日常茶飯事で、カラーバーが一瞬スクリーンに映るのをタラは子供の時に見てたから入れたのかな?と思いました。
こういうのも含めて、タランティーノの映画オタクの偏愛ぶりが炸裂した傑作でした。
ひとつ気になるのは、アメリカで公開されたグラインドハウスはロドリゲスの方が先なんだよねえ・・・これはなぜこういう公開順になったのか。タラ版を後から見たかった!ということにならなければいいけど。

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2007.09.02

リトル・チルドレン

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乾いたナレーションが客観的に「リトル・チルドレン」たちのめくるめく心情を説明する。ナレーションはあまり好きではないけど、これは効果的。
非常に親近感の湧く体型の、作家兼主婦役のケイト・ウィンスレットが良い。旦那の(最高に死ぬほどバカみたいな状況の)自慰行為を目撃したり、不倫相手の美人女房を見て大泣きしたり、笑えるけど笑えないエピソードが積み重なって、「リトル・チルドレン」たちが段々姿を現してくる。
「リトル・チルドレン」っていうのは、「大人になりきれてない、子供のような大人」という意味だそう。なるほどここに出てくる大人たちは、一見普通の大人としての生活しているように見えるけれど、部分的には子供だ。で、その部分的な子供の部分が、この映画では不倫をきっかけに大人の部分を浸食していってしまう。「あー、バカだなあ」と思うけど、よく考えると、理想とする「大人」っていうのは、自分を始めとして周りには誰もいないんじゃないか?誰でもこういうところはあるよな、と気づいて驚愕します。
宣材写真からは想像できないほど、シュールな物語でした。この映画は、かなりの収穫だったと思います。
子供に戻ってしまった大人たちは、このままどこへ行ってしまうのか?最後はどうなるか、見てのお楽しみです。

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レミーのおいしいレストラン

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ピクサーの新作アニメーションです。
ピクサー好きなのでもちろん観に行きました。が、結果からいうと年々ピクサーアニメは面白くなくなって来てる気がする。全部は見てないけども。
テンポの良さもストーリーテリングも良いし説教臭くもないんだけど、なんか物足りない・・・。主人公のネズミ・レミーをはじめ登場人物があまり好きになれないんだよなあ。あとはフランスが舞台なのに前編英語だし。アメリカ中心主義はここで言う必要ない(日本のアニメだってそういうところもあるしね)とは思うんだけど。基本的には子供向けだし。
と、貶してる感じだけどその辺のつまんない映画に比べればエンタテインメントとしてしっかりしてるし、飽きもこないで面白いです。
でもやっぱり「トイ・ストーリー」を超えるピクサー映画にはもう巡り会えないようで残念です。

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サッド ヴァケイション

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青山真治の新作です。
「Helpless」と「ユリイカ」の登場人物と、エピソードを引き継いでいる部分もあり。その前2作と合わせて3部作の最終章のようです。
これは傑作かもと思ったんだけど、なぜそうなのか上手く説明出来ない・・・
浅野忠信を中心に、出てくる男たちは、自分の状況を咀嚼出来ず拒否しようとしてもがいているようにみえる。その苛立ちの矛先は石田えりをはじめとする女性たちに向かう。彼女たちも彼女たちなりに傷ついたり悩んだりしているんだけど、腰が据わっているというか芯があり動じないので、それがまた男たちの苛立ちになる。かなり普遍的な男女の姿であると思います。
この映画を好きになれるかどうかは、石田えり(の役)が好きになれるかどうかにかかっているような気もします。やはり一般的な女性像とは違うし、嫌いだという人もいると思います。でも石田えりの役者としての技量がやはり凄いのもあるんだと思うんだけど、そこに圧倒的な大きさと母性を感じるのです。
一つのシーンを複数のカメラで撮って細かくモンタージュしたり、かと思えばずっと人物を追って長ーーーいカットなどを組み合わせ、才気走った映像や演出が見られて(中には「俺って凄いぜ」的なちょっと鼻につくのもなくはないんだけど)、ほんと何でこの人はいっつもこういう映画作らないんだろう・・・と思ってしまいました。
久々に凄い!と思わされた浅野忠信をはじめ、石田えり、板谷由夏など役者陣が非常に良いと思います。あとは何と言ってもラスト!あれには驚愕でした。素晴らしい。

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