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2007年10月

2007.10.29

陸に上った軍艦

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なんと95歳の現役映画監督、新藤兼人が自身の戦争体験(軍人体験)を語り、それをもとにドラマ部分と語りのドキュメンタリーを組み合わせた作品です。
なによりも95歳でここまでしっかりした老人を見た事ないので驚愕。さすが現役で映画撮ってるだけあります。あとはやっぱり巨匠中の巨匠なので(顔も)恐そうなんだけど、話し方が「〜なんだな。」とか言ってちょっとアラ可愛いおじいちゃんという感じで好感。
構成上しかたないけどもなんだかテレビのドキュメンタリーっぽくてやや残念だったけど、“普通の仕事をしていた人が招集されて、超末端でバカにされながら無理矢理軍人にされる”っていう、よく考えればいた筈なのに今まで知らなかったところなので、非常に興味深く見ることができました。
それにしても「木で作った戦車でシュミレーション」とか「靴を逆に履いて足跡をつけて敵を攪乱」とか、小学生にもバカにされそうなことを本気でやってたんだからすごいなあ。
内容は硬派なところもあるんだけど、新藤監督のほのぼのした喋り方と、笑わせるのを意識した描き方で、ハードルの高くないものになっているところが良いと思いました。
今夏からの「ヒロシマナガサキ」「特攻」「陸に上った軍艦」と、多面的な角度からの「戦争」を流れで見て来れたのでなかなか面白い。最後は「ミリキタニの猫」かな?

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酔いどれ詩人になるまえに

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ブコウスキーの作家前夜を描いた自伝小説「勝手に生きろ!」の映画化です。未読です。主演はマット・ディロン。
なるほど評判通り、マット・ディロンのブコウスキーはすばらしい。ブコウスキーのファンも納得するんじゃないかね?ダメダメなのに優しくて憎めないところをとても素敵に演じてたと思います。
特にリリ・テイラーがヒールを履いて足が痛くなったって言って、自分の靴を貸して裸足で歩くシーンにはグッときました。こういう男イイ!!
もうちょっとブコウスキー(というかチナスキー)がいかに言葉や書く事を大事にしていたかが表現されててもいいんじゃないかと思ったけど、全体の雰囲気としてはよろしいと思いました。

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2007.10.26

題名のない子守唄

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「ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ監督の新作。
「ニュー・シネマ〜」を想像して見に行くと、冒頭のシーンで度肝を抜かれると思います。最初から最後まで、ぼんやりする暇を与えないほどのサスペンス。
正直ここまで巧いとは意外なほど、きちんとサスペンスの常套句を踏襲しながらもまったく先の展開もわからない、お手本のような語り口。この映画は好きか嫌いかというところだけで、ほとんど難癖をつけるところが見当たりません。悪い意味じゃなくて、完全なるエンタテインメント。お見事。
この映画の成功は、トルナトーレだけでなく、主演の女優さんがとても素晴らしかったことと、やっぱりエンニオ・モリコーネの音楽が大きいと思います。
特に近年の映画音楽は、いかに既成の曲をセンスのいい使いかたをするかっていうところに重点が置かれていることが多い気がするのですが、やっぱりモリコーネ大先生は違います!!トルナトーレと一緒に相談しながらスコアを作り上げて行ったそうなのですが、いかに感情の昂りに音楽が重要な役割を果たしているかがわかるのです。その辺の映画音楽と一緒にすんなよ、って格の違いを見せつけられます。それにしても先生、もういつ死んでもおかしくない年齢だと思うんですが。まだまだ現役だよ、恐れ入りました!

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TOKKO -特攻-

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ちょっと時間が経ってしまったのでややうろ覚えのところもありますが思い出すかぎりに。
自分の叔父が元特攻隊員だった事実をしった、日系アメリカ人女性(監督)が、日本で元特攻隊員たちにインタビューを重ねていくドキュメンタリーです。
特攻隊員といえば、もうお国のために(洗脳され)嬉々として死んで行った若者というのをなんとなくイメージしていたのですが、正直「死にたくない」と思っていたごく普通の若者だったということを知って、そりゃそうだよなと思ったりしました。
監督自身の「特攻隊員」に対しての考え方が、映画を撮ることで変わっていくのはわかるのですが、まだ明確な着地点が見えてないように感じるため、やや中途半端な印象が残りました。

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2007.10.25

めがね

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一応はじめに書きますが、これから「めがね」をボコボコに貶しますので、この映画を好きな人は読まない方がいいと思います。
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「かもめ食堂」の荻上監督の新作です。わかりやすく「かもめ」第2弾といったところ。
一言でいうと、ダメ、全然ダメ。
「かもめ」と基本的なテイストは一緒なのですが、「かもめ」の人物や物語には、まだ奥行きがありました。「かもめ」の小林聡美は、父を置いて一人フィンランドに来たのはなぜだろうとか、片桐はいりはこれからどうするのだろうとか、ストーリーやキャラクターに対して想像力が働く余地がまだあったと思うのです。
「めがね」は、一見自由やら自然体やらを装いながら、観客に想像させる余地を一切与えません。想像するなんて野暮よと言わんばかりに。これが一種のファンタジーであることは明快ですが、ファンタジーとは想像力であるにもかかわらず、この映画の想像力は、「おいしそう」「なんか素敵」程度のものです。
想像力は与えないくせに、押し付けがましいまでの「自由」。見ててイライラします。
これを映画化する必要はあるか?雑誌でいいんじゃないの?「クウネル」の特集でよくないか?完全商業主義の映画なのに、アート系の仮面を被っているところはかなりの罪。
「かもめ食堂」は特に好きな映画ではないけど、この映画の出来には群ようこの原作がかなり重要だったのだなと思いました。
荻上監督は、もし次に「かもめ第3弾」の話があって、また同じようなことをやったら、絶対に監督としてもうダメになると思います。でも、この映画にも物凄い金がかかってるから断れないんだろうなあ。
ちなみに加瀬さんがビールを飲むシーンが何度かあるんだけど、お酒飲めないって言ってたのに頑張ってるなあ・・・と思ったのですがやはりマズそうに見えました。

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2007.10.24

パンズ・ラビリンス

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ファンタジーですが、普通のファンタジーじゃないです。ポスト・ピーター・ジャクソン(見た目も含め)といわれる、ギレルモ・デル・トロ監督作品。
子供が自分で想像の世界を描いて、それが現実のことのように話すことは珍しいことではないですが、まさにこれはその現実と想像力の境目を、残酷で美しく描いています。舞台が独裁政権下のスペインで、その現実の陰鬱さと少女の想像力や純粋さのコントラストが絶妙なバランス。この女の子はもう最悪な状況におかれるのですが、その中で見るファンタジックな世界に自分のささやかな夢を託すところが泣かせます。その点、ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」が思い出されますが、ローズが完全に逃避するのに対し、こっちは現実の絶望を希望に変えるためにファンタジーがあるんです。
で、そのファンタジックな部分の造形が基本的にグロテスクなところが素敵なのです。ちなみに手に目玉がついている怪物を見るたび、キャプテン・ビーフハートの「トラウト・マスク・レプリカ」のジャケットを思い出してしまいます。
見る前の期待値を越える傑作。素晴らしい。今年見た中で一番かも知れないです。もう一回見たい!

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2007.10.18

図鑑に載ってない虫

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「イン・ザ・プール」「亀は意外と速く泳ぐ」の三木聡監督の新作です。

古い!中途半端に古いっす。それが感想。2000年から数年間くらいの浅野忠信・永瀬正敏の2人の全盛期頃の、石井克人やauのCMを思い出します。そのノリをいまだやってる感じ。最近のドコモの、長瀬・浅野・瑛太とかでてるCM見て、「今さらこんなノリかよ・・・」って思った、その感じそのまま。

こういう“突拍子もない設定”みたいのは、結局何でもアリになるからつまんないですよねー。たいして笑えねーし。

小ネタじゃ映画は作れないですよね。

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コマンダンテ

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キューバのカストロに、オリバー・ストーンがインタビューしたという驚異のドキュメンタリー。アメリカでは上映許可がおりなかったそうです。

なぜ上映許可が下りなかったかは、映画を観るとよくわかる。オリバー・ストーンがカストロに投げかかる質問は、明らかにアメリカ政府を挑発したものもあるし、何よりカストロが非常に魅力的な人物として映るからです。

カストロの口から語られるのは、キューバ革命やゲバラ、キューバ危機にも及びます。オリバー・ストーンはカストロ自身をも挑発した質問を投げかけるので、観ている方も緊張します。

ゲバラは死して英雄になったけど、問題もあったにしろ50年間ずっと政権を維持してきたカストロの方が実は偉大なのでは?と思ったりして。カストロがキューバの若い人たちに支持されているというのはわかる気がします。

カストロの答えがすべて本当のことかどうかはわからないけど、信念を維持し続けること(数十年も!)と、人としての器の大きさが、どこかの国の大統領とは違うなあと感じるのです。

※キューバ革命前後の歴史と、アメリカとの関係と歴史を、ある程度把握して観ないとわからないところもあるし、よく知っている方がきっともっと面白いと思いますので、観る前には少し勉強しましょう。

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2007.10.10

クローズド・ノート

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エリカ様騒動でお馴染み、行定監督の新作でございます。

映画の最初の方でオチがわかってしまい(ラストに微笑むであろう沢尻エリカの顔まで!)、わかっているストーリーをただ見ているという苦痛を味わうのか・・・と思って見たのですが、思ったほど苦痛でなかったです。ストーリーは最後まで思った通りの展開だったけど。行定監督は完全に商業主義に魂を売ったか?と思ったけど、まだ映画的な演出も垣間見れるのでそれが飽きずに見れた要因かも。あとは、意外と演技はみなさん悪くなかったです。
それにしても、昨今のやたら感動を押し売りした完全商業主義の日本映画群をわりと避けてきた私ですが、これを見て、今どういうものが受け入れられているのかを実感し、マジで驚愕しました、というか不安になりました。
とにかく上っ面のみの綺麗事のみを羅列し、美男美女の役者を配して、ハイ笑って、ハイ泣いて、話もわかりやすいし、嫌なものを見せられる不安を一切与えない。これに1,800円払うのか・・・みんなそんなに「いい話」を見たいのかい?しかも「いい話」にするために、明らかに変な展開や演出があってもそれは流されるのかい?隣のおっさんは号泣してたけど、私は目が潤むこともまったくなかったよ。私は変じゃない、こんな映画で泣ける方が絶対変だ!
私にもし子供ができたら、こんな良い人ばっかりで綺麗事を並べた頭を一切使わない映画は絶対見せたくないです。ブサイクが全員滅多切りにしたり、奇怪な生物が人を喰い殺したり、いい年してバカなことばっかりしている映画を観る方がよっぽど勉強になります。
それにしても、Yoshiとかケータイ小説の映画ってこれより酷いんだよねえ、それをみんな見に行くんだから凄いな!!怖いもの見たさで見てみたい気がします。

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ショートバス

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「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督2作目です。
感想から言うと、主張したいことと、その手段が噛み合ってなかった印象。やりたいことや言いたいことはわかるんだけど、表現の仕方が直球すぎてやや説教くさい。「ヘドウィグ〜」が上手くいったのは、マイノリティの主張や思いと音楽とビジュアルと、キャラクターやプロットが全てバランスが良かったからだと思うのですが、この映画はその主張がやや前のめり。
性的表現はとくに過激とは一切思わなかったけど(ラリー・クラークやらギャスパー・ノエやらのほうがよっぽど・・・)、これを見ても「そうだなあ、セックスは素晴らしいよなあ」と思うには至らなかったのは私がストレートだからか。
次回作は、もうちょっと映画的に魅せる作品を撮っていただかないとキビシいと思います。

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シッコ

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「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」のマイケル・ムーアの新作です。

この映画は、映画としてどうこうよりも、観た後に如何に観客が考えるかということが大事なんだろう。で、それがムーアの望むことでもあると思います。
フランスやイギリス、キューバのことをよく描き過ぎだとか、そんなことはムーア本人も解ってることだと思うし、その部分だけを見て観客がフランスがスバラシイ、最高!と思うことはあまりに短絡的であると思う。観客はスクリーンに映る事実と、自分の想像力で描かれてない部分を補填しなくてはならない(って当たり前のことなんだけど)。
ムーアの、アメリカをもっと良くしたい、助けられる人を助けたい、という思いが伝わるのが感動的。
この映画は医療問題をとり上げているけど、それが医療だけにとどまらず様々な問題を想起させるところがまた、この映画の優れたところだと思います。

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2007.10.08

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

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三池崇史監督の新作です、って言っても三池の映画って年間何本公開されてる?っていうくらいなので、すぐに旧作になってしまうでしょう。本当にこの監督、いつ休んでるんだろう?

で、噂のジャンゴですが。
設定がむちゃくちゃだとか英語の台詞だとか、そんなことは気にならないしこの映画に関しては気にする方がおかしいと思うのでそれは全然良かったんだけど。
なんだろう・・・多分、三池監督って見た目はヤクザみたいだけど、本当は真面目で普通の人なんだろうなあと思いました。設定はむちゃくちゃなのに、なんだか演出が振り切れてない感じがする。ストーリー展開とか「間」とか、暴走しきれてないので見ていてもどかしい。かといって、愛情人情の描き方もやや中途半端。むしろこっちは要らないと思ったんですが。
私が今まで見た三池作品で一番面白いと思ったのは「カタクリ家の幸福」なんですが、あのくらい思い切った映画が見たかったです。
役者はまあ芸達者揃いで結構良いなと思ったんですが、木村佳乃のあの踊りは酷い。あそこは絶対にカッコ良く踊らないとならないシーンなのに、「変な動きをしている女」でしかないもんね。彼女はミスキャストだと思います。
逆にさすがと思ったのは桃井かおりがガンマンになったシーンで、うわーカッコいいと思ってしまった。あの役、梶芽衣子でもいいと思うんだけど。(タラのテンションもあがったであろう)
それにしても伊勢谷は、好きになれないけどいつ見ても超美形であります。

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2007.10.02

見てるんだけど

早寝早起きの癖がつきはじめてから、なかなか感想を書く時間がなくなってしまいました。
映画は見てるんですけど。そのうち書きます。いつも見てくださってる方々ありがとう。

最近見たのは
「シッコ」(マイケル・ムーアの新作!)
「図鑑に載ってない虫」(三木聡監督、伊勢谷と松尾スズキ出てます)
「TOKKO -特攻-」(元特攻隊員に取材したドキュメンタリー!)
「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(三池の新作!)
「コマンダンテ」(カストロの驚愕ドキュメンタリー!)
「プラネット・テラーinグラインドハウス」(グラインドハウスのロドリゲスの方)
「森達也のドキュメンタリーは嘘をつく」(テレビ作品ですが)
です。

特におすすめなのは「シッコ」と「コマンダンテ」と「プラネット・テラー」です。お時間あったら是非ご覧下さいませ。

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